韓国仕入れ日記②

前回はゲストハウスに着いたところまでだったので、今回はその続きからです〜


メールで届いたPCR検査の結果が無事陰性だったので、いよいよ街に出る準備を。

まずはゲストハウス周辺のヨンナムドンをパトロールしました。

*ゲストハウスの近くに、The ordinaryができてる!(今までカロスキルまで買いに行ってたけどこれで行かなくて済むーーーけど家に一年分のストックあるんだった)

*わんさかあったトゥンカロンのお店がごっそりない!

*みんなへそが出る服を着ている様な気が?(これがY2Kファッション…)

*夜中までめっちゃ人が多くてずっとうるせえ

(以上、5月くらいの適当ヨンナムドン情報でした)


てくてく歩いて、まずは以前よく利用していたゲストハウスの近くにあるお菓子屋さんへ向かいました。


Little Victoryというお菓子屋さん。お店のお姉さんとはたまにインスタでお話しするのですが、会うのは久しぶりでした。

前回に行ったときはちょうどバレンタインデーでめちゃくちゃ忙しそうで、そしてわたしも仕入れの荷物が重くて、くったくたに疲れて目の下のクマがやばくて「お互いがんばろう!」と話をして、おねえさんが持ち帰りの袋にこっそりバッカスを入れてくれたんだった。


わたしは「ここのカヌレとフィナンシェとマカロンは、ひょっとしてソウルでいちばん美味しいのでは?」と思っています。特にフィナンシェは「あなた辛うじてフィナシェの形してるけど、ほんとはバターなんでしょ?」と詰め寄りたいくらい、甘くて香ばしい超絶バターの味がします。これ一個食べたら5kg太ると言われても「そうですか、それでも構いません」というくらい美味しいです。「久しぶり!!!」とご挨拶をして、この日はキャラメルのカヌレとプレーンのフィナンシェと抹茶ミルクのマカロンを購入。


お散歩しながらものの数分で食べ終わってしまいました…10kg太ってもいいからあと3個くらい食べたかった…(我慢)


ここは、わたしがだいすきな韓国のバンド、We danceのライブを見たり、Tiger Discoや長谷川陽平さんのイベントに来たり、酔っぱらって知らない女の子と手をつないで踊ったり、楽しい思い出がたくさんあるライブバー(というのかな)「Channel1969」前。


以前よく泊まっていたゲストハウスから夜コンビニに行くとき、この前を通ると大抵知り合いの誰かがこの椅子の喫煙スペースでタバコを吸っていて「また韓国来てるの?もう家借りたら?笑」とよくからかわれたな、ということを思い出しました。ひとりで歩いていると思い出すのは誰かとの楽しかった思い出ばかりで、仕事とはいえ早速ひとりで居る事が寂しくなってきてしまいました…(早)

ヨンナムドンパトロールで少々おセンチになったので、韓国に来れなかった二年数ヶ月でいちばん食べたかったアレを食べに、乙支路3街へ向かいました。

いちばん食べたかったアレ…そうそれは、平壌冷麺です…

冷麺なんて日本にもあるじゃないって???いや、あの茶色いスープにすいかとかが入った、噛み切れない麺のアレじゃないんです。平壌冷麺ってのは蕎麦粉に…(長くなるので各自で検索お願い致します)


久しぶりの2号線に乗り、5番出口を出ると、わたしが知っているいつもの景色とは違う物がいきなり目に入ってきました。


友人たちが言っていた乙支路の再開発はこれかあ。解体されて不自然に空いている場所から後ろにある建物がみえたり、ベージュのシートがかぶさってる上にどこまでも空が見えたり、ぎゅうぎゅうに小さな商店が並んでいた居たはずの場所が、ぽっかりとした空間に変わってしまっていました。


BTSのシーグリのロケ地でおなじみな乙支茶房も、一階のシャッターに「長期休業」の張り紙がしてあり、実質閉店となっていました。実際目の当たりにすると結構ショックで、せめてここだけは…という気持ちで乙支麺屋に入りました。確か前回来たときは11000wだった水冷麺が13000wに値上がりしており、円安でレートが悪かったので更に高級な感じが。(でも構わん)

注文して数分、久しぶりのご対面…


会いたかった…ほんとに会いたかったよ…会いたすぎてわたし、あなたのボールペンも作ったんだよ?と話しかけながら(心の中で)味わいました。

嗚呼、この薄い味の奥に隠れている不思議な味…食べているとふっと薄さを感じなくなるこの瞬間…この謎の瞬間の味を、ずっと食べたかったんだった…

久しぶりの平壌冷麺とのご対面にしみじみしていると、隣のテーブルに居た女の子が5口ほどで豪快に一杯をたいらげ、すっと手を挙げて替え玉を頼んでおり「かっけー!わたしも!」と思ったのですが、40代の胃袋は心と裏腹なので断念…(そのくせ代謝が悪くなるから痩せない)まいっか、また来れるしなんて思ってたのですが!なんと、この日から約一ヶ月後の6/25、乙支麺屋は閉店してしまいましたーーーー


はあ?????????なんでーーーーーー???????


数年前にも再開発で「もしかして?」と言う事が会ったけど、ここの建物は大丈夫!となってたはずだったのに…

そもそも乙支麺屋とチュンムロにある筆洞麺屋は、議政府にある平壌麺屋というお店から暖簾分けされて兄弟で経営されているお店なので、この味を2度と食べられないという事はないのかもしれないし、物件が見つかり次第移転の可能性もあるとニュースに書いてあったのですが、そういうことじゃなく、この場所で、この雰囲気で食べることに意味があるというか、それを全てひっくるめてのここだけの味だったのに…

うきうきしながら通るちょっとボロい入口や、途中にある横並びの緑の椅子、ぴかぴかに清潔な店内と、たまに派手な色のペンキが塗ってあるこの感じがとってもすきでした。

そしてつい先週、もう粉々になってしまった乙支麺屋の写真がTwitterにあがっていました。

なんかもう、言葉がないですよね…とにかく寂しい。

再開発といえば、ここから徒歩で数分の場所にある、ノガリ横丁のOBベアも大変なことに。

乙支路にはノガリ(干鱈)をおつまみに、ジョッキのビールやおつまみを楽しめる路上ビアホールがずらっと並ぶ名物横丁があり、そもそもこの場所の文化を40年前に最初に作ったのがこのOBベアで、ソウル市の未来遺産にも認定されており、以前はさまざまなビアホールがこの場所で営業していました。しかしここ数年「満船HOF」というお店のオーナーがこの周辺の土地を買い占め始めた事によって殆どの店舗が満船HOFの支店になってしまい、遂にはOBベアの建物も満船HOFのオーナーが所有する事に。2020年からはOBベアの場所にトイレを建てたいという事で論争が始まり、行政による強制執行が何度も行われましたが、市民団体やOBベアのファンによってなんとか阻止されていました。わたしはその様子をインスタライブで何回か見たのですが、ドラマや映画みたいなこんな嘘みたいな事が本当にあるんだといつもはらはらしながら見ていました。

しかし今年の4月21日、朝の早い時間に(3時とからしい)裁判所等が雇用したという100人近い人数の人間がわっと現れ、遂にOBベアの看板や内装を引き下げ、店内のあれこれを強制的に撤去してしまったそうです。「ソウルの未来遺産」のあまりにもあっさりした最後にびっくりするとともに、こんな意地悪なことをする満船HOFに行ってお酒を飲みたい人なんているの?この話を知ったら誰も行きたくならないでしょ?と思っていたのですが、乙支麺屋から歩いてノガリ横町へ向かう途中、100人くらいの長い長い行列ができていて「何これ?AppleかNIKEの新作でも発売になるの?」というくらいの人の数で、この行列はなんなんだろう?と先頭の方まで歩いてみると、この行列の正体は、まさかの満船HOFのオープンを待つ楽しそうな人々の行列でした…涙

みんなレトロな雰囲気のこの場所でわいわい楽しく飲む事に夢中で、看板のなくなってしまったOBベアの前で抗議のデモをする人々の訴えや、この問題についての経緯を書いたチラシも殆どの人が受け取らず「このひとたちなんでこんなに怒ってるんだろう?うるさいなあ」と嫌な顔をしてみてくる人ばかりでした。

はあなんだろうこの感じ…と思ったのですが、選挙の日のあの感じ。わたしのTwitterのTLではみんなが嫌っているあの人が、ぶっちぎりで当選したときのあの感じ。その時の気分を思い出しました。

これはつい最近の写真ですが、OBベアの跡地はあっという間に工事されてしまい、こんな趣もへったくれもない、レトロぶったくっそつまんない満船HOFの11番目のお店になってしまったみたいです…(ヒップチロというのは、数年前に流行った「ヒップなウルチロ」の略で今更使うの?って感じ)(だっせ)

OBベアについては、まだいろいろな方々がDJや詩のリーディングやヴィーガン料理を振る舞う文化イベントを行ったり話し合いを続けたりと存続への活動を行っているので、日本から協力できることは残念ながらあまりないかもしれませんが、少しでも応援できることがあったらいいなあと思っています。(とりあえず、「奮闘するOBベア」Tシャツとピンバッジは購入しました)


工事される前のOBベア。

何となくしょんぼり乙支路を歩いていると「仕事おわったよ!今どこ?ごはん食べた?」とEtoffeのナヨンちゃんからカカオが。

ナヨンちゃんは「また再来週韓国くるわ〜!」とばいばいしてから約二年半会えなかった、韓国の作家の友達です。

ビザが取得できてすぐに「久しぶりに韓国いけるよおおおお!」と連絡をしたら、「なっちゃんどうせオニュのツアーでたくさんお金使うんだから、わたしんち泊まりな!」と返事をくれました笑

ナヨンちゃんとは、もともとはSHINeeがきっかけで仲良くなったのですが、最近は二次元の平たい絵の人(本人談)にしか興味がないので、出会った頃とはお互いに好きな物が変わってしまったのですが、「何これ笑」というものや「こういうのちょーーーきらい!」という感覚が自分ととても近い気がして、一緒に居てとっても居心地がよい数少ない友人です。


わたしが乙支麺屋で冷麺を食べたばっかりだったので、ピンスを食べに行こう!となり、ハプチョン駅で待ち合わせをしました。

会った瞬間から話したい事がめちゃくちゃたくさんあって気づいたら数時間経っていたのですが、殆ど日本の芸能人のゴシップと最近会った嫌いなやつの悪口をずっと話していた気が…笑 (「聞こえますかーーー?」といきなりガーシーのモノマネをされた時、死ぬほど笑った)


いちごが10数粒ごろんごろん入っているピンスをはんぶんこして、寒くなって来たのでホットのアメリカーノもふたりでシェアしました。コロナ禍のこの二年、日本に居る間は気を使って絶対はんぶんことかしてなかったけど、韓国に来ると自然とやってしまいますね…不思議…

「明日の朝、早起きできたら友達のお店で朝ご飯食べよう」という約束をして、久しぶりにふたりでハプチョンからホンデを散歩しながらまたげらげら笑って、なんだかそれがほんとうに懐かしくて。韓国に来た時の、いつものあの感じが戻って来た事がうれしかったです。


ナヨンちゃんとばいばいした後、コンビニに行ってゲストハウスに戻ると、明日の待ち合わせ場所と「帰り道になっちゃんがすきそうなやつあった!」とLINEが来ていて、それがほんとにわたしがすきなやつだったので、めちゃくちゃ笑ってしまった。

でっか!!!!!!!笑

ということで、また何も仕入れてないまま、仕入れ日記③に続きます…(早く仕入れたい)

おまけ

いちごピンスとおにゅさん

🍚🍚🍚

高円寺にある韓国雑貨をメインにしたお店「雑貨屋PKP」の日々のあれこれや、韓国についてのすきな事を話したりするサイトです。

0コメント

  • 1000 / 1000